心の悟り

柿本人麻呂様のお言葉

雅(みやび)なる人の心といふものは
深い哀しみと共に
くぐり抜けたる思ひによりて
さらなる優しさと 

美しさを伴うたものでござりまする
  
人の世はいつも
瀬戸の渦潮のごとく
その思ひの 

高下の渦の中に
さまざまな景色が織り込まれたる
ものでござりまする
  
激しき思ひの致す時でさえ
静かなる心にて
その思ひを眺(なが)むる時
己が身のいと哀れなるを
人ごとのごとくに 

見ゆるものでござりまする
  
さしたる時に

歌の一首の浮かびくるは

心の底の叫びなり
  
この一言に

思ひの丈を託しつつ 

いと静かなる

時を過ごさんとする

人の思ひのいみじゅうして
織りなす人生の
絵巻物語を 

さぞかし心にまといたる

絹の幾重にも重なりし
その重たさよ
いずれの時にか
一つひとつを脱ぎ捨てて
心のうちに持ちたる思ひを

手放せば
いと軽き心にて
天上界へと帰するものなり
  
これぞ悟りの境地なりけり


(初出:2012年12月17日)   

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