石原裕次郎様のお言葉
男も女も人間って奴は
みんなそれぞれの
寂しさや哀しさや
また嬉しさ
そんなものを持ってるものでしょう
それが人間ってもんですよね
私は自分の生命がいよいよ
どうなるかという時になって
初めて人の心の
優しさというものが
わかったような気がします
それまではがむしゃらに
がんばって生きてきた人生だったし
幸いなことに多くの人達から
支えられ励まされて
とてもいい人生を
送らせていただくことが
できました
それは本当にすべての
皆様に対して感謝をしております
しかし本当の意味で
人の心の優しさが
こんなにも
身に染みると思ったことは
もう生命が尽きようとする
頃になってからでした
まさか人生のその時点で
初めて気づくということがあろうとは
想像もしていなかった
自分の力が段々と衰え
今までできていたことが
できなくなり一つひとつ
できることがなくなっていくとき
気が変になりそうになりました
こんな自分が
人には見せられない
絶対にこんな弱気になってる自分を
見せちゃいけないと思っていたから
誰にもそんな姿は見せたくなかった
しかし心の中では
「俺もこんな弱い人間だったんだ」と
初めて思いましたよ
そして何気ない
妻の優しい一言や
周りの人達の心遣いが
あんなに身に染みたことはなかった
人の心というのはこんなにも
優しくあることができ
そしてその優しさが
こんなにも人に力を与えることが
できるんだということを
初めて気がついた瞬間でした
何でもできて
何でも知っている
自分であるかのように
思っていたけれど
そんな自分が
薄っぺらく滑稽に見えましたよ
「今まで俺は何をやっていたんだろう」と
「一体何を掴んできたんだろう」と
その時になって
そんな気持ちになりました
今だから言えることだけどね
本当に人間の強さというのは
目に見えないところにある
ものなんですね
本当に優しい人というのは
実は心の内に
すごい強さを持ってる人なんですね
自分はどうだったんだろうと思いましたよ
もうあとどのくらい
生命の時間があるんだろうかと
思いながらそれでも最後まで
一人でも多くの人に
勇気や希望を与えることができれば
それでいいと思いました
そしていい気になって生きてきた自分が
実は一番支えられていたなんて
その時になってやっとわかった自分が
不甲斐ないと思いました
しかしそうやってまた一つのことを
学んで次の人生のときには
もっと素晴らしい人生を
歩んでやるぞと思っています
世の中にはいろんなことがあって
苦しかったり辛かったり
する人もたくさんいると思います
しかし人間
何が幸せで何が不幸か
最後の最後までわからないですよ
だから希望は絶対に捨てないで
自分がどんなに苦しい
どんなに不幸だと思っても
実はそれは幸せだったのかもしれないと
あとになってわかる時がきます
だから絶対に希望は捨てちゃいけない
明るく生きなきゃダメですよ
今日はそれを伝えにきました
ありがとう
またいつの日か会いましょう
(初出:2012年12月26日)
