原石

バイアン様からのお言葉

私はバイアンと申します。
このようなところに私が出てくるということは、いささか場違いであるようにも思いましたが、なぜか今、波長が合いましたのでここに出てまいりました。
なぜに現れたのかと思われたことでありましょう。
 
私は、洞窟の中にある美しい石の結晶を、よく探し歩いたものでありました。
あれは長い時間をかけて、その美しさをその身に宿すのでありますが、その美しさが人の目に触れるまで、気の遠くなるほどの時間をかけて、洞窟の中で静かに眠っているのであります。
始めのうちは、どこの何という石であるのかさえもわからぬような姿でありながら、長い年月を経て、やがてそれは美しい奇跡へと変わっていくのであります。
その輝きを見つけたときの喜びといえば、言葉にたとえることが難しいことであります。
 
人もまた同じでありましょう。
多くの人々が、この世に生きている中で、奇人と呼ばれる人は、必ずその輝きを持っているものであります。
しかしその輝きは、一夜にしてなるものではありません。
長い年月をかけ、いや、もっと長い転生を繰り返し、永遠の時間をかけて育んでいるのであります。
その輝きは、見る者の目に、すぐに見えることはないかもしれませんが、気がつけばそこはかとなくこみ上げてくる美しさに、一度触れたならば、忘れることのできない輝きを放っているのであります。
 
その美しさを手に入れたならば、これは永遠にその人のものであり、他の者が奪い取ることはできないのであります。
どのように恋い焦がれて、あこがれてそれを手に入れたいと思ったところで、わが物とすることはできないのであります。
しかし、その輝きを知ったものは、忘れることができないのであります。
 
それは、洞窟の中にある美しい宝石の輝きにも増して、永久の輝きを放っているのであります。
肉の目で見ることのできない輝きであるゆえ、それを見抜くことができぬ者もまた多くいるということであります。
だが紛れもなくその輝きは存在するということを、私は知っております。
 
私がお話できることはこのぐらいのことでしょうか。
 
永遠の輝きを手に入れんがため、人々は皆、努力を重ねているのだということ、そしてその輝きは、他の者がくすみ取ろうとしても、取れるものではないということ、一旦その輝きを見た者は、それを忘れることはできないのだということであります。
 
それを見つけることは大変な喜びであり、ともに励まし合い、讃え合って、お互いに輝きを増していきたいものだと、思います。
 
以上です。

(初出:2014年2月26日)

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