中江藤樹様のお言葉
この日本においての政治経済、あらゆる分野におけるこのリーダーとして立っていく者というのは、群を抜いた考え方を持った者でなければ、務まらないということです。
さらに、その精神性においても、非常に優れたものを必要とするということであります
儒学など学んでおりますと、やはりそこに人の道ということを大変わかりやすく説いております。
これを己の血肉として身につけ、それを使いこなし、さらに香りが出るようになるまで、己自身にそれを浸透させることができてこそ、初めて、人を感化するほどの力というものを身につけることができるのであります。
この香りというのが、悟りと同じことでありましょう。
難しい学問を学び、複雑な数字を並べ立て、いかにも専門家でございますと言わんばかりの話をしておる者は愚かな者であって、そのような薄弱な者に人々はついては行かないのであります。
また政治の分野においても、国民は一瞬にしてその人となりを見抜く力を持っているものであります。
そのように考えておかねばならないでしょう。
自分がさまざまなことを学び、多くの人と話をし、多くの体験をしたからといって、自分が偉いだのと思うことはまったく愚かなことであり、それらのことすべてをこなしてなお、基礎編ができたというに過ぎないということを覚えておかねばならないでしょう。
人より多くのことを学び、人より深く悟りを持ち、人より多大なる困難を切り抜けて来たからといって、それを以て他に優越すると考えた瞬間にその人物は小なり、ということであります。
そこを基礎のラインとして己自身に静かにそれを持つ、しかもそれを水面下に納めながら、香りを立たせていくということができてこそ初めて、誰にも真似のできぬ政治、誰にも真似のできぬ経営、人生あらゆることができるのであります。
その一段高い水準を、自分の足元の基礎の段階としておくことを勧めます。
これこそが徳を積む人間の、その根幹の部分であるということであります。
徳を以て、すべてを治めていく、これが春風のように自然体の中でできるように研鑽を積むことであります。
(初出:2013年6月1日/収録:2013年4月27日)

