佐々木小次郎様からのお言葉
なんでここに出て来たか自分でもわかりませんが、不意にふと呼ばれたような気がして、思いを向けたところ、ここにやって来ました。
そうですね、なんで呼ばれたかわからないんだが、私は剣の道を極めて、剣の道に精進してきた者であるが、戦うこと、即ちこれは武力を磨くことではないと私は思ったのでありました。
それは一体なにであるか、つまり「精神性である」というところに行き着いたのです。
そのことをもって、「剣術」ということができると、いう風に考えました。
そしてそのことは、剣を持つ者のみならず、おおよそほとんどの人々にとって相共通するものではないのかと思っている次第であります。
私は剣の道を極めた者であるが、そうであると同時に、心の道を極めた者であるということもいえるのではないかと思っているのです。
つまり、やはりその道具が剣であるか否かにかかわらず、それら全てを支配するものは精神性であるということを、私は身をもって体験したというわけです。
命がかかったその時にこそ、現れる、真の力というものがあります。
これはその瞬間になるまで、わからんのであります。
どのような力が出るのか、自分の中に内在する、本来の力、本物の力というものを出すためには、考えごとや、作りごとなどで出てくるものではないのであります。
そのために、我らは常日頃、精神力を磨いていたのだということを、ようやく、この人生の終わりを告げる頃になって、理解できたということであります。
そのようなことを、今、つらつらと思い起こしている次第です。
本物の力というものは、自然体になったときに出る力であります。
作りごとでは、出すことができないとういうことです。
(初出:2016年5月12日)

