価値の転換①

垂仁天皇様からのお言葉

世のため人のために政治を行うことは、これはまこと大変な仕事であるが、私などはそのようなことについ手を下さず、静かに世を過ぎ去った者である。

それでも、思いの中においてはさまざまに思うことあり、単に政治を行うことのみが、すべてではないと思いつつ、意のままにならぬ世の中を心苦しい思いで見ておった。

周りの者たちは皆賢く、私を祭り上げてはその者たちの発意によりて、世の中が動いていったことを、どのように受け止めているのやら、歴史というのは、ひとたび間違ったところでそれを修正することは難しかろう。

その間違いの上に、また新たなる歴史が織り込まれていくということを考えたならば、いかにこの瞬間瞬間に、重大なことを決しているのかということを自覚せねばなるまい。

だが、その時その時の、世の中を動かしている者たちは、まるで先々のことなど考える余裕もないかのように、自我を発し、欲望に駆られた人生を送る。
この姿などは、まこと見るに忍びない。

このように実際の政治に手を下さず、ただじっとそれを見ていた私は、そのような人々の心が見て取れたのである。
思いは、まさに歯軋りをするがごとくであるが、しかしそれでも、世の移り変わりをしっかりと見て取ったのである。

今、この時代において、さまざまな変化の激しい時、ありとあらゆる思いが錯綜し、天皇たりとて、その思いをただ真っ直ぐに述べることあたわず。
周りの者たちに気を使い、言葉を選びながら、与えられた言葉のみを発するのみ。
なんと、傀儡のごとき扱われようである。
まこと情けない。
しかし、その基を作ったはこの垂仁天皇。

私の責任において、今の世のこれまで当たり前とされてきたこと、すべてひっくり返し申そう。
世の中全体において、この時をおいてよりほかに、それをなしうる時がなしと見受けた。

負けてはならぬ、負けてはならぬ。
周りの力に負けたは、この垂仁だが、時を経ってその意味を今になって知ることとなった。
この時のためにその力を蓄えたのだと、それゆえ、在命のときには、わが生命の意味がわからぬままにその世を去った。
しかしその生命、脈々と続くをもって、大いなる使命を果たすこととなる。
その時が今であると、ようやくわかったのである。
ゆえに、どのように時過ぎいくとも、負けてはならぬ。

(初出:2014年9月22日)

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